「奇跡の人」
偶然テレビをチェックしていたら、「奇跡の人」をやるというので見た。
何度となく見ているのに、泣けてしまった。
これには理由がある。

我が家の「三郎」は、ことばが「情報」として認識されにくい。
特に耳から入ることばはほとんど素通りすると思ってよさそうだ。
あまりに顕著なので何度か指摘があり、専門家に診てもらったところ、
障害ではなく性向なのだそうだ。
子ども、特に男の子(「話を聞かない男」ってあるから男も?)はことばが入りにくく、十言ったことの一が入れば良しとせねば、というのはよくある話だが、彼の場合はそれがより強く、ちゃんと申し入れしていても障害ではと思われるくらいだとお考えください。
まだ年齢もいかないので自分の世界に閉じこもりがちで、外の世界との繋がりがうまくいっていないようにも思うし、ことばが単なる文字の羅列、雑音の一つになってしまっていることが多い。

専門家からのアドバイスは、ことばがけだけではなく彼にわかる形での指示をすること。
「筆箱持った?」ではなく、一緒に筆箱があるか確認する。
「危ないよ」ではなく、何がどう危ないのか経験させたりしながら説明する。
これが毎日毎時間となると私はついイライラして、怒鳴ることもしょっちゅうになってしまう。
いくらことばが入りにくいとはいえ親が怒ればわかるし、これがまた人一倍心が傷つきやすい子なので、怒られた瞬間からフリーズしてしまう。

そしてフリーズする回数が増えてくると、親も子もストレスで大抵病気に逃げ込むことになる。
病気に逃げ込むことができるのは、ほんのわずかな時間だけだ。

病院はこの時間混むから約束はキャンセルしなきゃこれはメール添付しておけばいいか車で行くか電車を使うかその前に洗濯片付けなきゃしまったこれ今日提出って言ってなかったっけ?なにあの子熱あるのにマンガ読んでる学校に電話しなきゃあーもうなんで今日病気になったのよやっぱキャンセルまずいなあこの前も誰かの熱でキャンセルした具合悪いんだからお昼は消化のいいもの?あの子おかゆ嫌いだしうどん嫌いだし冷蔵庫には昨日の残りあるから片付けなきゃ今日の担当医誰だっけこの前のお医者感じ悪いったら・・・。
「ちょっと何しているの?寝っころがって本読んじゃいけないって言ってるでしょ!」

ヘレン・ケラーの「Water!」は、聡明なのに病気によって閉ざされてしまった彼女に、外の世界とつながることのできる、ことばという手段を発見した瞬間だと思う。
彼女は外に世界が広がっていることはわかっていたが、外へ飛び出す手段がわからなかった。
人がどうやって外の世界、自分ではないものとつながるかかと考えた時、私などはことばのハンディがあるのは大きいと思う。

そしてサリバン先生。
彼女は全身全霊で、野生児化していたヘレンと対峙した。
彼女にはつい、先日見た「女王の教室」の教師、阿久津真矢を重ねたが、自分の信念を周囲に斟酌せず貫き通す姿は似ていないだろうか。

「適性は適正」で、一途に思い込んだ親の育て方には疑問を感じているように書いたが、サリバン先生を見ると迷いも一段と深くなる。

ヘレンと「三郎」を一緒にはできないが、伸び悩んでいることは同じではないかと思う。
だとしたら、「三郎」の「Water」は何なのか。
どうしたら彼の世界と外の世界に橋がかけられるか。
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by a-tenar | 2006-02-22 14:03 | Movies

おいしいお酒と、すてきな何かと。
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