イッセー尾形が公卿に見えて
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太陽
太陽 The Sun
監督・撮影:アレクサンドル・ソクーロフ
製作・音楽:アンドレイ・シグレ
脚本:ユーリー・アラボフ
出演:イッセー尾形、佐野史郎、桃井かおり、ロバート・ドーソン
2005年 ロシア、イタリア、フランス、スイス

天皇とは、宮城のごく深いところで幾重にも人に傅かれているもの。
父親は言うまでも無く母親も似たようなお血筋で、天皇家と同じくらいの歴史をもつお公卿集や女房たちに囲まれて、宮城の奥深く大事に傅かれているのかと思っていました。
でも人に生まれたからにはそれなりの現世の悩み、はあるにしろ、わからない。
この映画で現実ではないにしろ、その一端を垣間見たような気になりました。

自分がその選択をすることで、誰にどのような影響があるかとしばしば悩む姿に孤独な帝王を感じました。
焼け野原になった東京などおそらく見たことはなかったでしょうに、リアルな悪夢を見てうなされ、そして悩む。
ここにアメリカは来るのか?
いえ、陛下。日本人が1人でも生き残っていればそのようなことにはなりません。
そうか、それでは私が生き残っている最後の日本人になりはしないかね?
侍従は答えず、
「誰も私のことを愛してくれない」
と呟く天皇。
いえ、陛下。皇族が、ご家族が、一般国民が陛下を愛しております。

私はここで、場にはいない皇族や皇后、子どもたち、それに生身の天皇にあったことも無い一般市民を持ち出されて、今ここに自分に傅いている侍従たちが天皇を愛していたかどうか、語られなかったのがおかしく、ひどい孤独を感じました。
いつも人に見られていながら、一人ぼっち。
たまんないですね、やりきれない。

歴代の天皇はこの孤独を経験したかもしれませんが、昭和天皇は未曾有の敗戦に臨んでことに当たらなければならない。
最後に若い側近の自決を聞いた皇后、桃井かおりの表情は何を表現したかったのでしょうか?
一番天皇自身を愛しているはずの妻の顔に、私は憎しみめいたものを感じたからです。
でも彼女は天皇をその場から連れさるので、行動では夫をかばっているような。
神の妻から人間宣言をした天皇の正妃、はその時何を考えていたのでしょうか。

バックの音、というかペンの音、筆を使っていてもわざと(?)マジックで筆記しているような音を出していたり、クラシックのような前衛のようなチェロ、ラジオのノイズのような音にも面白みを感じました。

「太陽」のソクーロフ監督、昭和天皇を語る
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by a-tenar | 2006-12-30 14:54 | Movies

おいしいお酒と、すてきな何かと。
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